数あるグリーンカード取得方法のうち、最も一般的な方法は、家族の一員として申請することです。 「家族が共に生活を送ることを可能にする」ことは、移民法の伝統的、かつ基本的な概念でもあります。 米国移民法は、米国市民やグリーンカード保持者の家族関係に基づくグリーンカード申請を認めていますが、 米国市民やグリーンカード保持者がスポンサーになれる家族の範囲には制限があります。 さらに、グリーンカードは年間無制限に発行されるものではなく、家族関係や移民局が申請を受理した日、移民を希望している家族の出生国によって取得までにかかる時間が異なります。
グリーンカードが申請可能な家族関係は、主に年間割当数に制限のない非優先区分と制限のある優先区分の2種類に分かれています。
非優先区分
上記の分野に相当する米国市民の家族は、グリーンカードの年間割当制度の対象にならないので、審査にかかる時間はありますが、直ちにグリーンカードを取得することができます。
また、下記の条件を満たすことができる米国市民と死別した配偶者も非優先区分で申請が可能です。
優先区分:
上記の分野に相当する家族は、グリーンカードの年間割当制度の対象になり、プライオリティ・デート(グリーンカード申請における優先順位)が現行になるまでグリーンカードを取得できません。
家族関係に基づくグリーンカードの申請プロセスは、個々の状況によって異なりますが、基本的に家族ベース移民ビザ申請とグリーンカード申請の2段階で行われます。
ステップ1: 家族ベース移民ビザ申請
米国市民またはグリーンカード保持者である家族が、I-130家族ベース移民ビザ申請を、移民局サービス・センターにて行います。 この申請の目的は、申請者である米国市民またはグリーンカード保持者と、受益者である外国人の家族関係を証明することです。
ステップ2: グリーンカード申請
家族ベース移民ビザ申請が認可され、プライオリティ・デート(永住権申請における優先順位)が現行になると、外国人受益者はグリーンカードを申請することができます。 この申請の目的は、外国人の健康状態や犯罪歴、およびスポンサーの経済力を含む、総合的なバックグラウンドの審査を行うことです。 国内で行う申請はI-485ステータス・アジャストメントと呼ばれ、米国内で非移民ビザからグリーンカードへ移民上の身分を変更する手続きのことです。 国外で行う申請は、米国大使館手続きと呼ばれ、米国外でグリーンカードを取得する手続きです。どちらの手続きも目的はグリーンカードを取得することですが、申請方法や期間や適用する法律が異なります。
家族関係が非優先区分に相当し、米国内でグリーンカードを申請する場合は、I-130家族ベース移民ビザ申請とI-485ステータス・アジャストメント申請を同時に行うことができます。
米国市民やグリーンカード保持者との結婚を通してグリーンカードを取得した外国人配偶者には、 結婚後2年以内にグリーンカードを取得した場合に限り、2年間のみ有効な条件付グリーンカードが与えられます。 通常、グリーンカード保持者のことを英語では「Permanent Resident」と言いますが、条件付グリーンカード保持者のことは 「Conditional Permanent Resident」 と言います。
条件付グリーンカード制度の目的は、偽造結婚を防止することで、2年間の有効期限付きという以外は、通常のグリーンカード保持者と同等な権利が与えられるため、就労に関する制限もなく、米国と海外の間を自由に往来することも許されています。 さらに条件付グリーンカード保持者として過ごした2年間は、市民権取得条件の1つである最低居住期間に含まれます。
条件を削除するためには、条件付グリーンカードの期限が切れる90日以内に、外国人配偶者と米国市民、またはグリーンカード保持者である配偶者が、共同で条件を削除する申請を行わなければなりません。 この申請の目的は、移民局に再度結婚の正当性について審査機会を与えることであり、グリーンカードを得るための偽造結婚ではなかったと証明することができれば、条件が削除され、通常のグリーンカードが発行されます。
万一、2年目の申請時に離婚や死別によって、あるいは米国市民やグリーンカード保持者である配偶者から虐待を受けているなど、米国市民やグリーンカード保持者の協力が得られず共同申請ができない場合でも、必ずしもグリーンカードが無効になるという訳ではありません。 この様な場合には、個々のケースの状況によって共同申請から免除を得ることも可能です。
なお、結婚後2年以上経過してからグリーンカードを取得した場合は、条件付グリーンカードではなく、初めから通常のグリーンカードが発行されます。
米国市民やグリーンカード保持者との結婚を通してグリーンカードを取得した外国人配偶者には、 結婚後2年以内にグリーンカードを取得した場合に限り、2年間のみ有効な条件付グリーンカードが与えられます。 条件を削除するためには、条件付グリーンカードの期限が切れる90日以内に、外国人配偶者と、米国市民またはグリーンカード保持者である配偶者は、共同で条件を削除する申請をしなくてはなりません。
しかし、さまざまな理由によって、共同申請を行うことができないケースもあります。以下のいずれかのケースに該当する場合は、状況によって共同申請から免除を得ることも可能です:
共同申請と同様, 免除申請においても、移民局は結婚の正当性を審査するため、外国人配偶者は、グリーンカードを取得するための偽造結婚ではなかったことを証明できる書類を提出しなければなりません。 また、その他の証明として、免除申請の基盤となる死亡証明書、離婚証明書、ソーシャル・サービスやカウンセラーからのレポート、警察証明書、医療証明書などを提出する必要があります。
米国移民法は、雇用に基づくグリーンカードの年間割当数を約140,000件と定めています。 雇用に基づくグリーンカード申請は、外国人労働者の能力や学歴・経歴によって主にEB-1からEB-5と5つのカテゴリーに分かれています。 申請基準はカテゴリーによって異なります。
雇用関係に基づくグリーンカード申請は、個々のケースの状況によって多少異なりますが、基本的に(1) 労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請、(2)雇用ベース移民ビザ申請、(3)グリーンカード申請の3段階で行われます。
ステップ1:PERMによる労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請
雇用に基づくグリーンカード申請は、在米スポンサー企業が、労働省より労働認定証(レイバー・サティフィケーション)を取得することから始まります。 このステップは、ごく少数の例外を除いて、EB-2とEB-3の優先分野に適合する外国人労働者の場合には必要です。
ステップ2: 雇用ベース移民ビザ申請
このステップでは、(1)第1ステップで、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請が認可されたこと、(2)スポンサー企業が労働局に提出した最低給与額を支払う能力があること、 そして(3) 外国人労働者に適合する優先分野を立証すること、さらに外国人労働者がその分野の申請条件を満たしていることを証明します。
ステップ3: 永住権申請
雇用ベース移民ビザ申請が認可され、プライオリティ・デート(グリーンカード申請における優先順位)が現行になったら、グリーンカードを申請することができます。この申請の目的は、外国人の健康状態・犯罪歴・経済力を含む、 総合的なバックグラウンドの審査を行うことです。国内で行う申請はI-485ステータス・アジャストメントと呼ばれ、米国内で非移民ビザからグリーンカードへ移民上の身分を変更する手続きのことです。 国外で行う申請は、米国大使館手続きと呼ばれ、米国外でグリーンカードを取得する手続きです。どちらの手続きも目的はグリーンカードを取得することです。
科学、芸術、教育、ビジネス、またはスポーツの分野で卓越した能力を持っている外国人労働者がグリーンカードを申請をする場合、第1優先カテゴリーに適合します。「卓越能力保持者」とは、専門分野でトップレベルに達した極少数の傑出者のことを指し、 国内的、または国際的な評価を受けていなければなりません。このカテゴリーの申請には、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請もスポンサー企業も必要ではありませんが、申請者は入国後も専門分野での活動を続け、 その活動を通して米国に多大な貢献をすることができることを証明しなければなりません。
申請基準:
証拠書類リスト:
申請者は、ノーベル賞やアカデミー賞、オリンピック・メダルのような国際的に認知されている賞の受賞者であること、または、そのレベルに達していなくても、以下の項目のうち最低3つに該当することによって、卓越能力を立証することができます。
専門分野で著名な大学教授や研究者として、国際的に認められているこ外国人労働者がグリーンカードを申請をする場合、第1優先カテゴリーに適合します。このカテゴリーの申請には、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)は必要ありませんが、スポンサーは必要です。
申請条件:
証拠書類リスト:
外国人が著名な教授あるいは研究者であることを証明するためには、以下の項目のうち、少なくとも2つを満たさなければなりません。
国際企業が米国の関連会社に重役・管理職者をグリーンカード保持者として派遣する際は、第1優先カテゴリーに相当します。このカテゴリーでは、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請は必要ありませんが、スポンサー企業は必要となります。
申請基準:
雇用に基づくグリーンカード申請の第2優先カテゴリー(EB-2)は、科学や芸術、ビジネスの分野で優れた能力の保持者と修士号以上の学位を持つ専門職者の分野に分かれています。 通常、このカテゴリーの申請には、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)とスポンサーが必要となりますが、申請者の能力や技術・技能が米国にとって有益であると判断された場合は、 労働認定証(レイバー・サティフィケーション)とスポンサーを免除してもらうことができます。この申請をNational Interest Waiverと言います。
申請基準:
宗教活動が目的で渡米する宗教関係労働者は、第4優先カテゴリーに相当します。「宗教関係労働者」には、一般に聖職者の他、宗教上専門的な職務に就いている人、または 宗教上、伝統的な職務に関連した業務に従事している人が含まれます。このカテゴリーでは、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)は必要ありませんが、スポンサーとなる宗教団体は必要となります。
申請基準: