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家族関係に基づくグリーンカード申請

数あるグリーンカード取得方法のうち、最も一般的な方法は、家族の一員として申請することです。 「家族が共に生活を送ることを可能にする」ことは、移民法の伝統的、かつ基本的な概念でもあります。 米国移民法は、米国市民やグリーンカード保持者の家族関係に基づくグリーンカード申請を認めていますが、 米国市民やグリーンカード保持者がスポンサーになれる家族の範囲には制限があります。 さらに、グリーンカードは年間無制限に発行されるものではなく、家族関係や移民局が申請を受理した日、移民を希望している家族の出生国によって取得までにかかる時間が異なります。

申請カテゴリー

グリーンカードが申請可能な家族関係は、主に年間割当数に制限のない非優先区分と制限のある優先区分の2種類に分かれています。

非優先区分

  1. 米国市民の配偶者
  2. 米国市民の21歳未満で未婚の子供
  3. 米国市民の親 (米国市民が21歳以上の場合)

上記の分野に相当する米国市民の家族は、グリーンカードの年間割当制度の対象にならないので、審査にかかる時間はありますが、直ちにグリーンカードを取得することができます。

また、下記の条件を満たすことができる米国市民と死別した配偶者も非優先区分で申請が可能です。

  1. 米国市民と死別する以前、結婚していたこと。
  2. 米国市民と死別した時点で、法律上別居していなかったこと。
  3. 米国市民の死後2年以内に、配偶者として申請を行ったこと。
  4. 再婚していないこと。

優先区分:

  1. 第1優先区分 - 米国市民の21歳以上で未婚の子供
  2. 第2優先区分 – グリーンカード保持者の配偶者、および未婚の子供
  3. 第3優先区分 - 米国市民の子供で既婚者
  4. 第4優先区分 - 米国市民の兄弟・姉妹

上記の分野に相当する家族は、グリーンカードの年間割当制度の対象になり、プライオリティ・デート(グリーンカード申請における優先順位)が現行になるまでグリーンカードを取得できません。

申請プロセス

家族関係に基づくグリーンカードの申請プロセスは、個々の状況によって異なりますが、基本的に家族ベース移民ビザ申請とグリーンカード申請の2段階で行われます。

ステップ1: 家族ベース移民ビザ申請

米国市民またはグリーンカード保持者である家族が、I-130家族ベース移民ビザ申請を、移民局サービス・センターにて行います。 この申請の目的は、申請者である米国市民またはグリーンカード保持者と、受益者である外国人の家族関係を証明することです。

ステップ2: グリーンカード申請

家族ベース移民ビザ申請が認可され、プライオリティ・デート(永住権申請における優先順位)が現行になると、外国人受益者はグリーンカードを申請することができます。 この申請の目的は、外国人の健康状態や犯罪歴、およびスポンサーの経済力を含む、総合的なバックグラウンドの審査を行うことです。 国内で行う申請はI-485ステータス・アジャストメントと呼ばれ、米国内で非移民ビザからグリーンカードへ移民上の身分を変更する手続きのことです。 国外で行う申請は、米国大使館手続きと呼ばれ、米国外でグリーンカードを取得する手続きです。どちらの手続きも目的はグリーンカードを取得することですが、申請方法や期間や適用する法律が異なります。

家族関係が非優先区分に相当し、米国内でグリーンカードを申請する場合は、I-130家族ベース移民ビザ申請とI-485ステータス・アジャストメント申請を同時に行うことができます。

条件付グリーンカード

米国市民やグリーンカード保持者との結婚を通してグリーンカードを取得した外国人配偶者には、 結婚後2年以内にグリーンカードを取得した場合に限り、2年間のみ有効な条件付グリーンカードが与えられます。 通常、グリーンカード保持者のことを英語では「Permanent Resident」と言いますが、条件付グリーンカード保持者のことは 「Conditional Permanent Resident」 と言います。

条件付グリーンカード制度の目的は、偽造結婚を防止することで、2年間の有効期限付きという以外は、通常のグリーンカード保持者と同等な権利が与えられるため、就労に関する制限もなく、米国と海外の間を自由に往来することも許されています。 さらに条件付グリーンカード保持者として過ごした2年間は、市民権取得条件の1つである最低居住期間に含まれます。

条件を削除するためには、条件付グリーンカードの期限が切れる90日以内に、外国人配偶者と米国市民、またはグリーンカード保持者である配偶者が、共同で条件を削除する申請を行わなければなりません。 この申請の目的は、移民局に再度結婚の正当性について審査機会を与えることであり、グリーンカードを得るための偽造結婚ではなかったと証明することができれば、条件が削除され、通常のグリーンカードが発行されます。

万一、2年目の申請時に離婚や死別によって、あるいは米国市民やグリーンカード保持者である配偶者から虐待を受けているなど、米国市民やグリーンカード保持者の協力が得られず共同申請ができない場合でも、必ずしもグリーンカードが無効になるという訳ではありません。 この様な場合には、個々のケースの状況によって共同申請から免除を得ることも可能です。

なお、結婚後2年以上経過してからグリーンカードを取得した場合は、条件付グリーンカードではなく、初めから通常のグリーンカードが発行されます。

共同申請から免除を得る申請

米国市民やグリーンカード保持者との結婚を通してグリーンカードを取得した外国人配偶者には、 結婚後2年以内にグリーンカードを取得した場合に限り、2年間のみ有効な条件付グリーンカードが与えられます。 条件を削除するためには、条件付グリーンカードの期限が切れる90日以内に、外国人配偶者と、米国市民またはグリーンカード保持者である配偶者は、共同で条件を削除する申請をしなくてはなりません。

しかし、さまざまな理由によって、共同申請を行うことができないケースもあります。以下のいずれかのケースに該当する場合は、状況によって共同申請から免除を得ることも可能です:

  1. 正当な結婚であったものの、離婚によって結婚が終わった場合。
  2. 配偶者が亡くなった場合。
  3. 外国人配偶者、あるいはその子供が配偶者から虐待を受けている場合。
  4. 国外退去になると、非常に耐え難い状況に置かれる場合。

共同申請と同様, 免除申請においても、移民局は結婚の正当性を審査するため、外国人配偶者は、グリーンカードを取得するための偽造結婚ではなかったことを証明できる書類を提出しなければなりません。 また、その他の証明として、免除申請の基盤となる死亡証明書、離婚証明書、ソーシャル・サービスやカウンセラーからのレポート、警察証明書、医療証明書などを提出する必要があります。

雇用関係に基づくグリーンカード申請

米国移民法は、雇用に基づくグリーンカードの年間割当数を約140,000件と定めています。 雇用に基づくグリーンカード申請は、外国人労働者の能力や学歴・経歴によって主にEB-1からEB-5と5つのカテゴリーに分かれています。 申請基準はカテゴリーによって異なります。

申請カテゴリー

  1. 第1優先カテゴリー(EB-1)は、さらに(i) 科学、芸術、教育、ビジネス、またはスポーツの分野で卓越した能力を持っている外国人労働者、(ii) 著名な大学教授や研究者、(iii) 国際企業の重役・管理職者の3つのカテゴリーに分かれています。 このカテゴリーに適合する外国人労働者は「優先就業者」と呼ばれています。
  2. 第2優先カテゴリー(EB-2)は、 さらに(i) 優れた能力の保持者と(ii) 修士号以上の学位を持つ専門職者の分野に分かれています。
  3. 第3優先カテゴリー (EB-3)は、さらに(i) 専門職者、(ii) 熟練労働者、(iii) 非熟練労働者のカテゴリーに分かれています。
  4. 第4優先カテゴリー (EB-4)は、宗教関係労働者を含む6つのカテゴリーに分かれていて、一般に「特別移民分野」と呼ばれています。
  5. 第5優先カテゴリー (EB-5)は、個人投資家に適合する分野です。

申請プロセス

雇用関係に基づくグリーンカード申請は、個々のケースの状況によって多少異なりますが、基本的に(1) 労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請、(2)雇用ベース移民ビザ申請、(3)グリーンカード申請の3段階で行われます。

ステップ1:PERMによる労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請

雇用に基づくグリーンカード申請は、在米スポンサー企業が、労働省より労働認定証(レイバー・サティフィケーション)を取得することから始まります。 このステップは、ごく少数の例外を除いて、EB-2とEB-3の優先分野に適合する外国人労働者の場合には必要です。

ステップ2: 雇用ベース移民ビザ申請

このステップでは、(1)第1ステップで、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請が認可されたこと、(2)スポンサー企業が労働局に提出した最低給与額を支払う能力があること、 そして(3) 外国人労働者に適合する優先分野を立証すること、さらに外国人労働者がその分野の申請条件を満たしていることを証明します。

ステップ3: 永住権申請

雇用ベース移民ビザ申請が認可され、プライオリティ・デート(グリーンカード申請における優先順位)が現行になったら、グリーンカードを申請することができます。この申請の目的は、外国人の健康状態・犯罪歴・経済力を含む、 総合的なバックグラウンドの審査を行うことです。国内で行う申請はI-485ステータス・アジャストメントと呼ばれ、米国内で非移民ビザからグリーンカードへ移民上の身分を変更する手続きのことです。 国外で行う申請は、米国大使館手続きと呼ばれ、米国外でグリーンカードを取得する手続きです。どちらの手続きも目的はグリーンカードを取得することです。

EB-1A卓越能力保持者

科学、芸術、教育、ビジネス、またはスポーツの分野で卓越した能力を持っている外国人労働者がグリーンカードを申請をする場合、第1優先カテゴリーに適合します。「卓越能力保持者」とは、専門分野でトップレベルに達した極少数の傑出者のことを指し、 国内的、または国際的な評価を受けていなければなりません。このカテゴリーの申請には、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請もスポンサー企業も必要ではありませんが、申請者は入国後も専門分野での活動を続け、 その活動を通して米国に多大な貢献をすることができることを証明しなければなりません。

申請基準:

  1. 科学、芸術、教育、ビジネス、またはスポーツの分野で卓越した能力を持っていること。
  2. 専門分野において卓越した能力の保持者であると、国内外で評価を得ていること。
  3. 専門分野での実績を、十分な証拠書類によって立証できること。
  4. 渡米後も専門分野での活動を続けること。
  5. 専門分野での活動が、米国に多大な貢献を与えること。

証拠書類リスト:

申請者は、ノーベル賞やアカデミー賞、オリンピック・メダルのような国際的に認知されている賞の受賞者であること、または、そのレベルに達していなくても、以下の項目のうち最低3つに該当することによって、卓越能力を立証することができます。

  1. 上記のような最高レベルの賞でないものの、専門分野での活躍や実績が認められ、国内外で認知されている賞を受賞した証拠
  2. 専門分野での活躍や実績が認められた者しか入会できない団体に所属している証拠
  3. 実績や作品が専門紙、または主要な業界紙やメディアで取り上げられた証拠
  4. 同じ専門分野で活動する人の実績や作品を審査する役目を務めたことがある証拠
  5. 専門分野に多大な貢献をしている証拠
  6. 専門誌や他の主要メディアに、学術論文・記事を発表した実績がある証拠
  7. 専門分野が芸術の場合、申請者の作品が展示されたことがある証拠
  8. 有名な団体の作品において、主役、または重要な役で出演したことがある証拠
  9. 専門分野が芸術の場合、商業的成功の証拠
  10. 専門分野において、その他の人と比較して多額の報酬を得たことがある証拠
  11. 上記には該当しないものの、卓越能力を立証できる証拠書類

EB-1B 著名な教授と研究者

専門分野で著名な大学教授や研究者として、国際的に認められているこ外国人労働者がグリーンカードを申請をする場合、第1優先カテゴリーに適合します。このカテゴリーの申請には、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)は必要ありませんが、スポンサーは必要です。

申請条件:

  1. 専門分野での業績に対して国際的に認められていること。
  2. 専門分野で少なくても3年間、教員として、あるいは研究者としての経験があること。
  3. グリーンカード取得後、専門分野でテニュアまたはテニュアトラックの教員、あるいは大学、高等教育機関、または民間企業で、テニュアまたはテニュアトラック同等の研究者として働くこと。スポンサーが民間企業の場合は、その企業が専門分野のフルタイム研究者を3人以上雇用していることを証明しなければなりません。

証拠書類リスト:

外国人が著名な教授あるいは研究者であることを証明するためには、以下の項目のうち、少なくとも2つを満たさなければなりません。

  1. 主要な賞、または優れた業績に対する賞を受賞した証拠
  2. 優れた業績を示すことが入会条件となっている協会の会員であることの証拠
  3. 外国人の専門分野での活動や研究について、第三者によって書かれた記事や論文が専門出版物に掲載された証拠
  4. 同じあるいは関連する専門分野で活動する人の活動内容について、審査員団の一人として、または個人の審査員として参加した証拠
  5. 専門分野にて独自の科学的または学術的研究に貢献した証拠
  6. 国際的に流通しているジャーナルに、専門分野の論文または記事の著者として記載された証拠
  7. 上記には該当しないものの、著名な教授あるいは研究者であることを立証できる証拠書類

EB-1C国際企業重役・管理職者

国際企業が米国の関連会社に重役・管理職者をグリーンカード保持者として派遣する際は、第1優先カテゴリーに相当します。このカテゴリーでは、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請は必要ありませんが、スポンサー企業は必要となります。

申請基準:

  1. 申請前の3年間のうち最低1年間は、米国外でフルタイムの重役・管理職者としての勤務経験があること。申請者が非移民ビザを取得し、すでに米国の関連企業で働いている場合は、入国前の3年間に最低1年間、米国外でフルタイムの勤務経験が必要となります。
  2. 米国外で勤務していた企業は、在米企業の関連会社であること。支社、子会社、親会社、合併事業等、共通の利害関係にある形態が必要となります。
  3. 米国の関連企業においても、重役・管理職者として勤務すること。
  4. 米国の関連企業が、創業から最低1年以上経過していること。

EB-2 国益免除による申請 (NIW)

雇用に基づくグリーンカード申請の第2優先カテゴリー(EB-2)は、科学や芸術、ビジネスの分野で優れた能力の保持者と修士号以上の学位を持つ専門職者の分野に分かれています。 通常、このカテゴリーの申請には、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)とスポンサーが必要となりますが、申請者の能力や技術・技能が米国にとって有益であると判断された場合は、 労働認定証(レイバー・サティフィケーション)とスポンサーを免除してもらうことができます。この申請をNational Interest Waiverと言います。

申請基準:

  1. 科学や芸術、ビジネスの分野で優れた能力の保持者、または修士号以上の学位を持つ専門職者であること。
  2. 米国に多大な価値と重要性のある分野の仕事に携わっていること。
  3. 申請者がその分野の仕事を、前進させうる資質・条件を持つこと。
  4. 総合的に判断して、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)の免除が、米国にとって利益となること。

EB-4宗教関係労働者

宗教活動が目的で渡米する宗教関係労働者は、第4優先カテゴリーに相当します。「宗教関係労働者」には、一般に聖職者の他、宗教上専門的な職務に就いている人、または 宗教上、伝統的な職務に関連した業務に従事している人が含まれます。このカテゴリーでは、労働認定証(レイバー・サティフィケーション)は必要ありませんが、スポンサーとなる宗教団体は必要となります。

申請基準:

  1. グリーンカード申請前の2年間、米国に非営利の宗教組織を持つ宗教団体に所属していること。
  2. その宗教団体は、米国内歳入法第503条に基づいた非課税対象団体であること。
  3. グリーンカード申請直前の最低2年間、米国または海外で聖職者として、あるいは宗教的なポジションで働いていたこと。
  4. 申請者の米国での活動の唯一の目的が、聖職者として、または宗教的なポジションで働くことであること。